平衡含水率の重要性
【平衡含水率】
木の細胞の中には「自由水」という水分と「結合水」とういう水分が存在し、自由水は空気中にさらしているだけで蒸発していきますが、結合水は人工的に乾燥させなければ抜けていきません。 木材を乾かすとこの自由水が抜けきる頃に木は変形を起こします。 そしてしばらく放置すると収縮や変形が少なくなり、大気の湿度と均衡した状態になります。 そのような水分状態を「平衡含水率」といいます。 木材の水分と大気の水分の均衡が取れた状態になれば、それ以上自由水の蒸発は起こらなくなり、大きな変形もなくなるのです。 この平衡含水率は、湿度の高い屋外と低い室内では異なります。
【屋外平衡含水率】
外気にさらされる屋外の場所では、木材は含水率30%を下回るところから収縮と変形を始めます。 そして含水率15%~20%くらいまで下がるとそれ以上乾かなくなります。 この状態の数値が屋外平衡含水率となります。 含水率が安定して落ち着けば、木材は収縮などの変形を起こしません。 つまり外気に触れる場所の木材なら、あらかじめ含水率を15%以下にしておくことで、施工後に木材が変形することを防げるのです。 それ以上の含水率のまま使用すると、施工後に含水率が下がっていく過程で木材が変形してしまう恐れがあります。
【室内内平衡含水率】
室内でも屋外と同様、含水率30%を下回るところから木材は変形を始めます。 そして室内では屋外よりも遅く、含水率10%~15%まで下がらないと木材が落ち着きません。 冷暖房器具や断熱性能が発達した現代の住宅では、室内の湿度は昔より低くなりました。 そのため木材が大きく変形をしないためには含水率5%以下が要求される場合もあります。 もしも室内平衡含水率まで下がっていない木材を室内で使用したり、屋外均衡含水率の木材を室内に使用すれば、施工後の室内の湿度に伴って含水率も下がっていきます。 この含水率の下がる過程で木材の収縮や変形が発生してしまいます。